築年数を重ねると、マンションはどんなところから傷んでいくのでしょう?
そして、修理するのにどれくらいのお金がかかるのでしょう。
国土交通省では「大規模改修ガイドライン」を作って、積み立てをして12年ごとに修繕をおこなうよう指導しています。大規模改修は建物の外回り、屋根・トユ・外壁・窓周りのシーリングが主です。
しかし、私の経験では、傷みにくい設計をしておけば、大規模改修は返済が終わった後にやれば十分です。(30~35年先)
私の事務所のビルは1987年製なので築35年になりますが、今年初めて足場を建てて、屋上防水・外壁のタイルとコンクリート打ち放し部をジェット洗浄、コンクリート打ち放し部には浸透性撥水材を塗布しました。窓周りのシーリングも行いました。
よって、返済期間中は無理して大規模改修を行う必要はありません。
もしデザイン的に許すなら、屋上よりも勾配屋根にしておけば、雨漏りの心配がなくなります。
また、設備配管はどれくらい持つのか? ですが、私の調査では30年や40年では絶対に取り替える必要はありません。
耐用年数と寿命は別です。
それよりも、コレステロールが詰まりにくい設計にしておくべきです。
一昔前までは汚水(トイレ)と雑排水(キッチンやバスの水)を別系統にするように指導されましたが、むしろ同じ系統にしておいたほうが、遥かにコレステロールがたまりません。
コレステロールと呼んでいるのはキッチン油とバスの石鹸など油脂です。これが配管にこびりつくと大変なことになります。トイレの排水は不潔ですが、油脂はありません。
キッチンやバスから出た油脂をトイレの排水で流してやれば、コレステロールがたまることはありません。
給水・給湯配管も架橋ポリエチレン管ですから、実験では100年もつことになっています。
すると、何にお金がかかるのか? ですが、それはリニューアル費用です。
キッチンや洗面化粧台、ユニットバスなどは流行りがあるので、時代感がわかりやすいです。
郷愁というと聞こえが良いですが、なんとなく悲しさを覚えたりします。
時代感をめだたさせないように、できるだけシンプルなものを選んでおきましょう。
洗面化粧台は20年ほどで、ユニットバスは借金完済後で取り替えましょう。
こんなことを私が自信を持って言えるのは、ベテランだからです。私が設計の世界に入ってからもう40年以上たちます。
最初のころに設計させていただいた賃貸マンションはすでに返済が完了しました。
手前味噌ですが、オーナーから「安田さん、やっといて良かった。もしやってなかったら、寂しい老後になるとこだった」と感謝されています。
借入金さえ返してしまえば、もうこっちのものです。リニューアル費用くらいは簡単にまかなえます。
節税しながら自分の可愛いマンションをリニューアルするのって、楽しいですよ!
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