たしかに、逆転結露(夏型結露)が起こる環境はあり得ます。
でも、すぐに乾燥するので心配ありません。
逆転結露(夏型結露)のお話をする前に、「そもそも結露とは何か?」からお話ししたいと思います。
一般的に結露とは、冬に起こります。
断熱不足の家、防湿層をしっかり作っていない家、コンクリート造の内断熱の家で結露が起こります。
(内断熱の家は防湿層の役割を果たすコンクリートの内側で断熱するので、コンクリートと断熱材の接点で結露が起こります)
外断熱の建物では冬にも結露はおこりません。
結露とは空気中に含まれる水蒸気が、水になる現象ですが、どんなときに結露するか順を追ってご説明させてください。
このブラフは湿り空気線図といって、とても便利なグラフです。
グラフの下に書かれた数字は気温です。そして右肩上がりの曲線は相対湿度です。
たとえば室温が24℃で、相対湿度が50%のときは青い丸印のところです。
それを右に行くと9.5gと書かれています。これは、空気1㎏の中に水蒸気が9.5g含まれているという意味です。
では、空気1㎏とはいったいどれくらいの大きさかといいますと、約0.8立法メートルです。
縦1m、横1m、高さ80㎝の大きさです。もしそれを風船に詰め込んだら、直径1.2mくらいになります。
その重さが1㎏・・・重いのか、軽いのか・・・
その風船の中に水蒸気を入れると19gで満タンになります。
今は室内の気温が24℃で湿度は50%なので、満タンまでに十分な余裕があって結露しませんが、その空気が冷たいものに触れると結露が始まります。
その温度は13℃で、木材の場合だと「冷たっ!」というほどでもないのが曲者です。
13℃という温度は窓ガラス、縁の下、壁の中の見えない部分など、どこにでも存在します。
これが冬の結露です。
では、夏の結露(逆転結露)はどうでしょう?
夏になると毎年、「最高気温35℃!」など気温ばかりがクローズアップ報道されますが、暑さの根源は湿気です。
ここ数年の東京で一番蒸し暑かったのは2020年8月13日で、絶対湿度は22g/Kgdaでした。
これが何を意味するかというと、先ほどお話しした直径1.2mの風船の中の空気に22gの水蒸気が含まれているということです。
どれくらい蒸暑いかというと、27℃以上平常心でいられません。
実際、27℃で絶対湿度14g/Kgdaを超えるとイライラしてきますから、その1.5倍だと激蒸しであり、スチームサウナに入っている状態です。
とはいえ、35℃、湿度80%などという現象は東京では起こったことがありません。
絶対湿度は22g/Kgdaが史上最大です。これを相対湿度にすると、35℃、60%です。
いよいよ、逆転結露(夏型結露)のお話です。
22g/Kgdaの湿気を含んだ空気を何℃まで冷やすと結露するかですが、それは26.5℃です。
エアコンを25℃くらいに設定していると思いますので、コンクリートの外壁の屋外側では確かに結露する可能性があります。
が、夏の気温は高く、35℃まで上がったとすると相対湿度は60%ですから簡単に乾燥します。もし、夜間に気温が下がって逆転結露したとしても、翌日のお昼には乾きます。
ですから、冬の結露のように心配する必要はありません。
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