明日の記憶


ひょんなことから約4か月間(2022425日~819日)ホテル暮らしをすることになりました。

自宅を3度建てて掴んだ家づくりのコツや裏技、ホテル暮らしから生まれた革命的なアイデアなど、為になるだけでなく、

私の人生を赤裸々に語る、愛と感動の物語です。 いちばんはじめ「優雅な朝食」から順番に読んでいってくださると嬉しいです。


妻が若年性認知症になる直前、たまたまですが映画「明日の記憶」を二人で見に行きました。

家庭も省みず仕事に生きる、49歳の広告代理店のやり手営業マン・佐伯雅行(渡辺謙)。仕事においては大きなクライアントとの契約が決まり、プライベートでも娘の結婚が決まるなど、順風満帆に見えた彼だが、突如物忘れが激しくなり、めまいや幻覚といった不可解な体調不良が襲う・・・。

 

そんななかで、たいへん印象的なシーンがありました。家出した佐伯雅行はもう、妻の顔さえ覚えていません。でも妻の枝実子と再会したとき、新たに枝実子さんと結婚することを誓ったのです。

映画館のゆるやかな階段を降りるとき「もし私の妻がそうなったら、改めて結婚すればいいんだ!」と思いました。生まれ変わってもサトと結婚したいから、認知症くらいならぜんぜん大丈夫だと思いました。後にサト(佐外子)が若年性認知症になると知る由もなく・・・

 

妻にはアリセプトは効かず、急な坂を転がり落ちるように認知機能が低下し、人間の言葉も失いました。そして煩悩や人間の汚い部分がすべて浄化されました。

サトは人間から動物へ昇華したのだと思います。

一般的には人間が動物界の頂点ということになっていますが、私は全く逆だと思っております。

なぜなら動物は「足るを知る」からです。もし地球上から人類がいなくなったら、動植物たちは自然な生態系を取り戻し、地球は元の美しい星に戻るでしょう。

だいじなことなので、繰り返しますが、認知症は何もかも失うものではありません。人間の汚い部分が消え、美しい部分が育ちます。実際、サトは以前にもまして私を癒してくれます。