弊社は2023年から日本核シェルター協会に入会し、5回にわたるウェブ講習を受けた。
ビデオではなく生のZoomだったので、そのつど質問し回答を受けた。講義内容は大きく二つに分かれる。
一つは、核シェルターに必要な耐性《化学兵器、生物兵器、放射性物質、核兵器》と建造方法。
もうひとつは、核シェルターの歴史と普及率。
スイスはでは1962年のキューバ危機をきっかけにすべての新築建物にシェルター設置を法律で義務づけ、普及率は107%に達した。
日本でも1970年代に核シェルター熱は高まったが、高度成長がおわり冷戦が終結すると冷めてしまった。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる、とはまさにこのことである」というような内容だった。
私は熱心に講義を受けたが、なにか今一つしっくりこないものがあった。
建造費と維持費についてである。
建造費については教えてくれなかったが、私の試算ではいくら知恵を絞っても50名収容サイズで1億円かかる。
これでも奇跡の最安値なのだ。では5人用なら1千万円で造れるかというと、まったくムリ。
建造費は規模とシチュエーションで大幅にかわるものなのだ。
最安値で建造するコツはビルを建てるついでに核シェルターを造ること。
ビルを建てるには基礎構造物が必須だ。地下室があってもなくても基礎は必要。
その基礎に手を加えて核シェルターに仕上げるのだ。
それでも収容人員1人当たり200万円かかる。
命を守る為とはいえ、200万円をすっと払える人がどれだけいるだろうか?
それに加えて維持費が必要だ。しっかりメンテナンスしておかないと、いざというとき役に立たない。
わたしは核シェルターの建造方法よりも、建造費と維持費を捻出するアイデアが大事だと思った。
日本の近くには危ない国がたくさんあるので。
《アイデアA》
たとえば50室の賃貸マンションを新築するとき、ついでに核シェルターを建造する。
付近の家賃相場が10万円なら、あと5千円上乗せする。(内訳:200万円を50年分割払いにすると1か月あたり3300円。プラス維持費1700円)
核シェルター付きマンションなんだから、家賃相場より5千円くらい高くてもいけると思う。
でも、2人住まいの場合、プラス1万円はちょっときつい気がする・・・
《アイデアB》
命を守る為だとはいえ、平和がつづくと負担が厳しいと思えてくる時が必ず来る。
実際、スイスでも最近そんな現象が起きていると聞いた。
そうならないためには平常時に核シェルターがなんらかの形でお金を稼いでくれるようにしないといけない。
さて、何かよい商売はないか? と考えた。
経営をもっとも圧迫するのが人件費。
人件費をかけない商売なんてあるのかな?・・・あるある、私の事務所のすぐ近くにもあるチョコザップだ。
チョコザップは無人だから2980円という低価格が実現できるのだ。
《アイデアC》
核シェルターを会員制にして会員権を販売する。
個人ではコスト的に建造不可能な核シェルターの会員権を1名200万円で販売する。会員権は譲渡可能。
ただし、「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」を参考に核シェルターの運用と会員の保護をしっかり規定する必要がある。
これらのアイデアを上手に組み合わせると核シェルターの建造と維持ができるはずだ。
さて、問題はかたづいたかと思ったが、実はまだあった。
それは核シェルターでの生活。
核爆発がおきたあとの残留放射線が人体に悪影響をおよぼさないレベルまで減衰するには2週間かかるという。
つまり2週間はシェルターから外へ出られないわけだ。
日本核シェルター協会のモデルルームの動画を見てほしい。
そして私からの質問
「あなたは地底の洞窟で、プライバシーのないベッドで、尊厳を損なうトイレで2週間耐えられますか?」
「あっ、言い忘れました。シャワーはありませんよ」
メンタルが強い人なら耐えられるかもしれないが、少なくとも私は耐えられない。生命は助かっても精神が病んでしまいそうだ。癒しの空間で、プライバシーを保てるカプセルベッドで、普段と同じトイレで、そして毎朝、熱いシャワーでさっぱりして暮らせるようにしないと、2週間後に外へ出てもほとんどのひとがウツになってしまうと思うのだ。
そうなったら、復興なんてありえないと思うのです。
幸い技術はとても発展しており、水を使わなくても清潔なバイオトイレ、使った水の98%を再利用できるWOTABOXがすでに実用化されていて、美しく優しい超軟水が潤沢に使えます。もちろん、せっけんやシャンプーもいつもどおりに使えます。
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