ちなみに、夏の日射を比べると、ハワイよりも日本のほうが強いのです。
なぜ?
ハワイは日本より南にあるから、日射も強いはずだ・・・と、 実は私も思っていました。
ハワイの年間日射量:灰山彰好教授作成Heat-01にて作成
上がハワイの年間日射量を月ごとに示したグラフ。そして下が日本のそれです。
年間トータルの数字はハワイの方が多いですが、5月~7月における日射量は日本の方が大きいのです。
なるほど日本の夏はやたらに暑いわけです。
ハワイの特徴は、真冬でも終日日射量が5000Wh/㎡あることです。この5000Wh/㎡がミソです。
6000あっては暑くなるし、4000では寒くなります。 この、絶妙な日射量もハワイが愛される理由のひとつです。
日本の年間日射量:灰山彰好教授作成Heat-01にて作成
ホノルルと東京の気温
ホノルルと東京の気温のグラフを見てみましょう。
なるほど、気温の変化は日射量の変化と似ていますね。ハワイのほうが平均値が高くて、穏やかです。
そして、もうお気づきだと思いますが、雨が少ないのがホノルルの特徴です。
さすがにこれだけ雨が少ないと、カラッカラで肌や喉に悪いのではないかと心配になりますが、そこはホノルル、よくできております。
ホノルルは雨こそ少ないですが、すぐ近くで雨や霧がたくさん発生していますので、その適度な湿りを享受することができるのです。
しっとりやさしい暖かさ、これがホノルルの魅力です。
ちなみにシンガポールでは
「なんじゃこりゃ~! シンガポールは1年に夏と冬が2回づつあるのか?!」と思いました。
よく見ると、年間通じて6000Wh/㎡台でほぼ一定なんですね。
つまり、年がら年中、暑いということです。これでは参ってしまいますね。
実際、私はシンガポールの街を歩き回って、熱射病で寝込んでしまったことがあります。酷暑そのものです。
でも、改めてグラフを見ると、シンガポールの年間総日射量は76912Wh/㎡であり、ハワイは74143Wh/㎡ですから、さして変わりません。
また、夏の日射量がいちばん多いのは、なんと東京なんです。
つまり、単に日射量だけでを比較しても仕方がないわけですね。
シンガポールは大陸のすぐ近くにありますし、ハワイは広いひろい太平洋のど真ん中にありますよね。
たくさんの要素の組み合わせで、気候が決まるわけです。
その要素と、最適なブレンドを求めて、研究は続きます。
研究課題
課題は、ホノルルの木陰のしっとりとした涼しさを解き明かし、日本の家に取り入れる方法を考える事です。
❏ 日本の夏の日射を適度に制限するにはどんな方法がベストでしょうか?
❏ 夏の日射は、家のどの部分をを直撃するのでしょうか?
もちろん屋根ですね。
そのつぎはどこでしょう? 南の壁でしょうか?
いや、南ではく、東と西の壁です。しかも、東と西では公平に日射が当たります。
ええっ~、なぜ? 西日のほうが絶対に暑いよね!?
❏ 日射を遮るにはどんな方法があるのでしょうか? しかも費用対効果のすぐれた方法は?
最近、遮熱塗料というのが出回っていますが、断熱効果もあるのでしょうか?
などなど、疑問が湧いてきます。
まてよ、冬はどうなるのだ?
考えているうちに、ふと、冬のことが気になりました。
日本には酷暑だでけでなく、厳冬もあったのです。まったく、世話のやける島です。
❏ 寒い冬のお天道様はほんとうに有り難いですね。 これは取り入れない手はありません。
夏の日射は遮って、冬は取り入れる・・・ 開閉式ドームでしょうか?
雨漏りは大丈夫か? 維持費がかかりすぎて、どこかのドーム球場が売りに出されたというニュースも聞きます。
これらをひとつひとつ整理していかないと、頭が混乱して、結局どうしたら良いのかわからなくなりますね。
挙句の果てに「自然派」と称して、「自然に逆らわず生きるのが一番!」という建築家もいます。
私は、それは卑怯と考えます。トライの放棄です。
❏ 自然を取り入れるのはもちろん大事ですが、ベストな取捨選択がだいじです。
すでにたくさんの教授が観測、実験をしてくださったデータがありますので、それらを元に費用対効果の優れた方法で、
実用化を進めて行くていくのが私どもの使命と考えています。
これからひとつづつ丁寧に、しかしザックリとご説明していきますので、お付き合いのほど宜しくおねがいします。
前のページ《 第 2 章:ホノルルの街並み
次のページ》第 4 章:優しい暖かさを、楽しむ